最高の普段使いカーか？Golf GTIをMTで駆る！
ちょっとおもしろいクルマに乗る機会があったので紹介しようと思う。
それがこちら
Golf 5 GTI
VWのGolf GTIだ。Golfの長い歴史の中でも、このGolfは5代目になる。なのでGolf 5 GTIというのが正式な呼び名となる。ちなみに、現在の最新モデルは８になる。
Golfは日本車でいうとホンダのフィットなどと同じ、５ドアのハッチバックのボディタイプとなる。サイドから見るとかなりコンパクト。Golfは世代が変わるごとに外観が少しずつ変わっているが、このGolf5は全体的に丸っこくて可愛らしい印象を受ける。
GTIではないノーマルのGolfには乗った経験があるが、今回は”GTI”なので、足回りやエンジンを強化したスポーツモデルである。VWはGolf以外に、さらにコンパクトな車種であるPoloやUp!にもGTIモデルをラインナップしている。GTIの上には最強グレードの”R”もあるが、そちらは4輪駆動システム”4Motion ”を採用している。GTIは前輪駆動だ。
Golf GTIのように、コンパクトなボディでありながらスポーティな走りを目指したモデルをホットハッチと呼称する。日本車でいえばSUZUKIのSwift Sportなどがこれに該当する。
早速、ドアを開けて乗り込んでみる。車高は低くなく、乗り降りで不便な思いをすることはまったくないだろう。
メーターは一見して特別感はない。回転数を示すタコメーターとスピードメーター、それとガソリンや油温計など、必要な情報をシンプルに表示している。イマドキのクルマのように、多彩なグラフィック表示する液晶ディスプレイなどは装備していない。しかしこの無骨な感じは男心をくすぐるし、何より見やすい。スピードメーターが300km/hまで刻んであるのが気になるが、もちろん、日本でそこまでの速度を出す機会はない。
スポーツモデルらしく、シートのホールド感はわりと高め。しかし座り心地は固くはないので、一般的なスポーツカーのような、ゴツゴツした感じはない。助手席に女の子を乗せた場合、背中のホールド感にこそ若干の違和感を覚える可能性はあるが、座り心地で文句が出ることはないだろう。
今回はMT車なので、3ペダル仕様だ。ペダルはどれもアルミの加飾が施してあり、スポーティな印象だ。また、アクセルペダルがオルガン式なのも嬉しい。最近のVWグループのクルマはアクセルが吊り下げ式なので、ここは意外なポイントだ。
乗り心地、加速、ハンドリング
ギアを1速に入れて走り出す。走り出した最初の数十mで感じたのは、びっくりするほどの乗り心地の良さ。滑るように前に進むこの感じは、以前乗ったノーマルのGolfで感じた乗り心地と全く同じだ。GTIグレードであるからとゴツゴツした固めな乗り心地を予想していたが、意外にもそんなことはなかった。ギャップや荒れた路面を通過しても不快な揺れはほとんど感じない。決してフワフワして乗り心地ではないことは確かだが、スポーツカーにありがちな、路面を這うような接地感には乏しいかもしれない。なのでスポーツカーのつもりで気合を入れて乗り込むと、あれっと期待はずれな気分になるかもしれない。これがGolf6や7、これから出るであろう8のGTIになると、電子制御でダンパーやサスの硬さを自由に変えることができるようになる。なのでこの乗り心地の柔らかさの話はあくまで、Golf 5 GTIに限定される。
アクセルを強めに踏み込むと、心地よい排気音を出しながら威勢よく加速していく。搭載される2リッターエンジンの出力は200馬力程度。公道でスポーティな運転を楽しむのであれば必要にして十分なパワーだ。個人的に楽しいのが、ギアを2速に入れてアクセルを踏み込み、じっくりと排気音を楽しんでから3速に変速するとき。フル加速すれば法定速度を軽くオーバーしてしまうのは明らかだが、感覚的にだいたい7割くらいまでであれば危険を冒さずに楽しむことができる。
ハンドリングは欧州車らしく、狙ったラインをきれいになぞっていく感じだ。後輪駆動のクルマほど鋭い操舵感はないものの、ある程度クイックにハンドルを切っても、車体がブレない安心感がある。
GTIの魅力、Golfの魅力
乗り心地の良さとハンドリングに関していうと、この感覚はGTIが持つ魅力というよりは、Golfが本来持っている素性の良さが光っているのではないかと思う。なのでGolfを始めとしたハッチバックの欧州車全般に言えるのが、GTIのようなスポーツモデルでなくとも運転は楽しいということ。ノーマルのGolfだって、AudiのA1だって、運転はとても楽しかった。GTIはその楽しさにさらにスパイスを加えるべく、高出力のエンジンを搭載し、そのパワーに応えられるようにクルマの各所のセッティングを見直している。
仕事帰りに遠回りしてワインディングを流しにいく。わりとタイトなあのコーナーだけ、ちょっと攻めてみる。ある程度楽しんだらスーパーに寄って、夕飯に使う食材を買って帰る。普通のコンパクトカーだと面白みがないし、かといって2ドアのスポーツカーは使い勝手が悪い。そういう人(つまり自分)に強くおすすめできるのが、このホットハッチというジャンルだ。ハッチバックという使い勝手の良いボディに、欧州車の良さと＋αを味付けした、ちょっと刺激的な普段使いカーだった。
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